2012.02.01

学べる料理店

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広島市中区の静かな住宅街にある「うまい菜屋」は、一言で言うと、マクロビランチのお店。マクロビとは、マクロビオティックの略で、時々耳にはするが、一般的にはまだあまり馴染みのない言葉かもしれない。マクロは大きい、ビオは生命、ティックは術や学、と説明すると、なんだか難しくて、読み進めるのがおっくうになりそう・・・。なので、シンプルに言うとつまりは「健康で長生きする食事」のこと。 最近で言えば、マドンナが取り入れた食事方法として有名だが、もともとは玄米や野菜をバランスよく食べる、昔ながらの日本の食事スタイルだ。戦後の工業化で道具がそうだったように、食事も西洋のスタイルが取り入れられ、薄利多売の時代が到来した。ファーストフードが主食化し、手間のかからない調味料が流通して、季節や国を問わず、いつでもあらゆる食材が楽しめるようになった。便利で豊かになったはずなのに、昔の日本の食生活が見直されているのも、なんだか皮肉な話だ。
具体的にうまい菜屋で実践されているのは、
◎肉や魚、乳製品は控える。
◎主食は玄米、雑穀など全粒穀物。
精米したものは使わず、野菜も皮ごと全部食べる。
◎食材はできるだけ無農薬栽培で、
なるべく近隣の地域で収穫された季節のもの。
◎主な調味料は、自然塩、熟成しょうゆ、発酵みそを使う。砂糖を使用しない。
ということ。
これらのルールを守りながら提供してくれるランチは、本当においしい。この、おいしい、というのが最大のポイント。マクロビの店ではストイックになるが故に、料理としてはちょっと物足りない、ということも多い。健康志向でも、やっぱり楽しんで食事したい。でないと長続きもしない。うまい菜屋のランチは、ふっくらと炊きあがった玄米や、だしからしっかりつくられたおみそ汁はもちろん、イタリアンみそソースの大根ステーキや、お肉を食べた気分にさせてくれる春巻きのフライなど、健康にプラスして、野菜をおいしく食べるためのたくさんの工夫やアイデアが盛り込まれている。これにはいつも驚かされる。そしてこれこそが、他のお店にはない旨さの理由ではないかと思う。近所にあってほしい、いや、近所に引っ越してでも毎日食べたい食事だ。
時間を忘れてしまいそうな店内でゆっくり食事をしていると、程よくおなかもいっぱいになる。常連客は意外と男性が多い、というのも納得。オーナーはもの静かな雰囲気とは裏腹に、話してみるとさっぱりとした、明るい笑顔が印象的な女性。10年前に自宅の1階を店にし、独学で今日までこのスタイルを続けてこられたそうだ。
「趣味でやっているようなものなので、儲けを考えてたらできませんよ」とあっけらかんと笑うオーナー。メニューはランチのみ1,000円。1日限定20食。内容から考えると確かに安い。一品一品、素材から調理方法まで研究や試行錯誤を重ねて、丁寧につくられているここのランチは、言葉のとおり、商業ベースではできない内容だ。
月に一度、料理教室も開かれている。作ることからマクロビを学んで、健康でおいしく楽しい食生活への一歩を踏み出してみるのもいいかもしれない。季節の野菜食 うまい菜屋/広島県広島市中区舟入本町10-18
tel.082-292-8026   http://www.ccv.ne.jp/home/umainaya/